為替レートと輸出額

シリーズ菅原晃として続いていくかもしれません。
改めて思ったことは、怒りというのは人間をドライブする原動力になりえるということですね。

高校生からのマクロ・ミクロ経済学入門 政治経済 現代社会 「円高で輸出減」は単なる神話

通常の国際マクロの教科書にはだいたい輸出額は自国通貨建て為替レートの増加関数と書いてありますが、そうでない文献というのは何かあるんですか?

計量分析を行う際にも、減価に対して輸出量が増加するように符号条件を設定して分析するわけですが、そういった既存の研究もすべて間違っているといいたいわけですか?

ま、これもどうせ承認されないんでしょうけどね。あなたみたいなクズ野郎に付き合わされる高校生が気の毒です。

(追記)
id:maeda_aさんと以前同様の議論をtwitter上で行っていた様子。
http://twilog.org/tweets.cgi?id=maeda&word=barukannn

(再追記)

マクロ経済学の教科書などから関連する箇所をいくつか抜粋してみましょう。

斉藤他「マクロ経済学有斐閣 247ページ

そこで、まず実質輸出と実質輸入の決定要因を別々に考えてみよう。外国経済が活発になるほど外国向けの輸出は増大するので、輸出関数は外国経済の産出量(Y*)の増加関数となる。また、実質為替レートが上昇(減価)するほど、世界市場における国内製品の競争力が高まるので、輸入関数は実質為替レート(ε)の増加関数になるであろう。

強調は引用者による。

福田慎一「価格変動のマクロ経済学東大出版会 82ページ

(1a)  IM_t=a\cdot y_t-\beta(e_t-p_t+p_t^*)+u_t
(1b)  IM_t^*=a\cdot y_t^*+\beta(e_t-p_t+p_t^*)+u_t^*
(省略)
一方、(1a)式および(1b)式は、ともに輸入関数である。国際間の資本移動が存在しない現在の2国モデルでは、貿易収支はつねに均衡していなければならない。したがって、IM_t=IM_t^*から、
(5)  e_t-p_t+p_t^*=k(y_t-y_t^*)+u_t-u_t^*
が成立する。ただし、k\equiv \alpha / (2\beta)である。

私の持っている版では(1b)式の\betaの前の符号は負になっているのですが、(5)式と合わせて考えれば誤植であることは明らかです。

ここでは変数がすべて対数値になっており、e_tが自国通貨建て名目為替レート、p_tが自国の一般物価水準、p_t^*が外国の一般物価水準であり、e_t-p_t+p_t^*が実質為替レートを表しています。IM_t^*は外国にとっての輸入、つまり、自国にとっての輸出になっており、これが実質為替レートの増加関数になっていることから、自国通貨の減価が輸出の増加につながることが仮定されていることがわかります。

マンキューだと純輸出ベースでの議論になってますね。

マンキュー「マンキュー マクロ経済学I」東洋経済 174ページ

パンの価格がパンの需要に影響するように、自国と外国の財の相対価格はこれらの財貨の需要に影響する。もし、実質為替レートが低くて自国財が相対的に安ければ、自国民は輸入品はあまり購入しないであろう。つまり、自動車はトヨタよりもフォードを買い、ビールはハイネッケンよりクアーズを飲み、バカンスはヨーロッパよりもカリフォルニアの方で楽しむだろう。同じ理由で、外国人も我が国の財貨を多く買うことになろう。したがって、我が国の純輸出は大きくなる。

実質為替レートが高くて、したがって、自国の財貨が外国財に比べて相対的に高価であれば、逆のことが生じる。自国の住人は輸入品を多く購入し、外国人はわが国の財をあまり購入しないであろう。したがって、わが国の純輸出は減少する。

実質為替レートと純輸出のこの関係を
 NX=NX(\varepsilon)
と書こう。この方程式は、純輸出は実質為替レートの関数であることを示している。図5-8は、貿易収支と実質為替レートのマイナスの相互関係を示したものである。

ここでの実質為替レート(ε)は外国通貨建てで定義されているので注意が必要です。つまり、εが大きいときに自国通貨高を意味します。

実証研究では…と書こうとしたけど、国際マクロの実証ってよく知らないからパス。何かわかりやすいのを見つけたら追記するとしましょう。